脳卒中を発症すると、残念ながら「できないこと」が急激に増えます。 特に半身麻痺を負った場合、それまで「100」だった自分の能力が、「15か20」くらいにまで激減してしまう。そんなイメージです。
昨日まで当たり前だった「歩く」という動作さえ、奇跡のような高いハードルになってしまう。 そんな「当たり前が、当たり前でなくなった時」に、どう自分を受け入れていくべきか。今日は私の経験から思うことをお話しします。
■ 比べない、孤独にならない。それが土台。 日本には多くの脳卒中患者がいます。考え方は人それぞれですが、私が大切にしている土台は二つです。 「自分だけだと思わないこと」そして「他人と比べないこと」。
リハビリの結果に一喜一憂しているとキリがありません。まずはこの土台をしっかり固め、その上に自分の新しい考え方を組み立てていくのが先決です。
■ 「できない」ではなく「今はまだ、できる準備が整っていないだけ」 どうすればポジティブになれるのか。 脳には、細胞の修復や神経ネットワークが再構築される「可塑性(かそせい)」という素晴らしい機能があるそうです。
だから、できないことに直面しても落ち込まないでください。 「できない」と決めつけるのではなく、「今はまだ、できるための準備が整っていないだけ」。 条件が揃い、脳のネットワークが再構築されればいつかできる。そう捉え直してみてください。
■ 「たっぷりある時間」という無敵の特権 身体に障害を負うと、行動が制限され、自室にこもりがちになります。 実はそれがチャンスなのです。私たちは「時間をたっぷり使える」という、忙しい現代人には得難い恩恵を授かっています。
丁寧に、ゆっくりと物事に取り組んでも誰にも文句を言われない、ある種の「無敵状態」です。 例えば、信号のルールさえ守れば、横断歩道をどれほどゆっくり渡ってもいい。この特権を存分に使ってください。
■ 急がない生き方へのチェンジ 大きな病で休養を余儀なくされたなら、それは「急がなくていい生き方」へシフトする最高の機会です。 これまで、どれほど自分を焦らせてきたかに気づくはずです。
脳が体を修復しようとしている時、焦りは禁物です。脳に対して、体を修復する以外のストレス(焦りなど)を与えない。 ゆっくりと、今の自分を味わいながら進んでいく。その心の余裕こそが、回復への一番の近道だと私は信じています。

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